日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』4

倉前盛通 著  第4回 大仏殿にみる技術 しかも木造建築としては、当初の大仏殿の方が現在のものよりも大きいわけです。現在の大仏殿は元禄時代に再建されたものであります。最初の大仏殿が源平の戦いの時に焼けまして、それを源頼朝が再建しました。その...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』5

倉前麻須美 著  第5回 光の帯 幼い私は尼ヶ辻の家で不思議な体験もしました。少し長くなりますが、お付き合いください。 尼ヶ辻の間取りは板の間の隣が六畳の座敷、その隣が3畳の納戸、長い廊下、座敷の壁側にさび朱色の大黒柱がありました。その右横...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』3

倉前盛通 著  第3回 銅からみる歴史 日本の匠の存在というのは、優れた鉄と木工技術があるということを意味します。日本は非常に良い鉄を作る国でありまして、鋼のいいものを作ります。日本刀もそうですが、道具でも鑿(のみ)や鉋(かんな)、鋸(のこ...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』4

倉前麻須美 著  第4回 光の夢 二度も死にかけたことなど何も知らない私の記憶は、尼ヶ辻から始まります。昭和25年から26年の頃になるでしょうか。そこでみた忘れられない夢から、私の人生の記憶は始まる言ってもよいでしょう。その頃の私はいつも怖...
日本「匠」の伝統

没後三十年追悼企画『日本「匠」の伝統』2

倉前盛通 著  第2回 名と実 武家政治が始まってからは、宮中の役人の名前というのは、有名無実化していきました。また一方で、幕府に仕える大名や侍たちにとって、幕府というのはあくまで「私」の政府でありまして、「公」の政府ではありませんでした。...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』3

倉前麻須美 著  第3回 尼ヶ辻へ 尼ヶ辻では来客が多かったようです。なかでも、父が尊敬する大先生でいらっしゃいます影山正治先生と保田與重郎先生のお二方に、赤ん坊の私を抱っこして頂けたのがとても嬉しかったようで、これもまた何度聞かされたこと...
日本「匠」の伝統

没後三十年追悼企画『日本「匠」の伝統』1

倉前盛通 著  これは昭和六十一年に行われた第6回アジア研究所公開講座「日本文化を考える」の第6回講演の内容を編集し直したものである。 第1回 日本の「匠」  現在は国際的な問題をやっておりますが、私は本来エンジニアです。その関係もあり、日...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』2

第2回 テレビ局での思い出 倉前麻須美 著    尼ヶ辻の時代の部屋の間取りは今でもありありと覚えています。階段を上がって右側の戸を開けると四畳半ほどの板の間で、卓袱台があり、奥に台所。水道がない為、バケツに水を汲んで二階まで運ぶ作業を繰り...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』1

倉前麻須美 著    第1回 命の恩人 私に物心がついた頃、両親は奈良の尼ヶ辻というところで、戦争未亡人のお宅の二階を間借りしていました。幼児の頃の私は頭でっかち、典型的な幼児体型で、その階段を一人で上り終え框でほっと一息つくやいなや、あっ...
お知らせ

倉前盛通 生誕100年

本日、倉前盛通が誕生してからちょうど100年となりました。これを記念して新しい企画を用意しておりますので、ご期待くださいませ。 九平次拝