日本「匠」の伝統

日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』20

倉前盛通 著  第20回 匠の精神と深層心理 (最終回) 自動車生産高や工作機械の生産と輸出、これらもアメリカ、西ドイツ、フランスなどに比べて日本が圧倒的に多いのです。特にコンピューターで制御する工作機械は桁外れに日本が優秀であります。これ...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』19

倉前盛通 著  第19回 稲作と畑作 何でも道として理想を高く持つ日本人の特性はどこからきたのでしょうか。これは稲作からきているのではないかと思われます。日本で稲を作るのには自発的意志を必要とするからです。 東南アジアのように年に三回も米が...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』18

倉前盛通 著  第18回 「商は詐なり」は中国の発想 日本の商道に対して、中国には、商は詐なりといって、商いというのは人を騙して行うものだという発想がある言われます。ただ、中国人の商いというのは嘘ばかりというわけでもなく、信用が非常に重んじ...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』17

倉前盛通 著  第17回 祭祀と鉢巻 御神輿を担ぐ時に、よく鉢巻をします。ねじり鉢巻をして向こう鉢巻にします。実は、鉢巻を前で結ぶのと後ろで結ぶのでは、意味合いが全く違ってくるのです。ねじり鉢巻で前で結んだり、横っちょで結んだりする時、その...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』16

倉前盛通 著  第16回 日本人の道 日本人の特徴に、何でも「道」にするというのがあります。柔術が柔道に、剣術が剣道になりました。お花とか茶湯を華道、茶道と呼び、香りを扱う香道というのもあります。商いを商道といったりもしますし、農民道とか職...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』15

倉前盛通 著  第15回 定年と日本人 このように、働くことが祭りの一環、つまり祭りにお仕えすることであるという発想は、後に仏教や儒教とも結びついていきます。例えば、禅僧の鈴木正三や石門心学で有名な石田梅岩のような人が出てきて、働くことは仏...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』14

倉前盛通 著  第14回 技と祭祀 それから、職人も神を祀ります。大工や、木工職人、金属にいろいろ細工する金工、鋳物職人、あるいは刀鍛冶などです。刀鍛冶などは精進潔斎して、周りに注連縄を張って、烏帽子を被って刀を打つわけです。これは人を殺す...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』13

倉前盛通 著  第13回 労働と祭祀 日本では働くことは単なる労働ではなく、日本人は祭りの一環として働いているのです。外国人が、日本人は働き過ぎだとかワーカホリックだとか何とか言って、もっと休めとか定年後は悠々と暮らせばよいではないか言いま...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』12

第12回 韓国にはいない篤農家 本学(亜細亜大学)の卒業生でアジア経済研究所から派遣研究員として、韓国に10年くらい留学した人がおられますが、その彼に、韓国の農村を一言でいえばどういうことですかと聞いたことがあります。その答えは、韓国の農村...
日本「匠」の伝統

没後三十年企画『日本「匠」の伝統』11

倉前盛通 著  第11回 日本の伝統と美学 蒙古人というのは大変素朴でいい人たちです。しかし、遊牧民の原理というのは、農耕社会の原理とは全く違いますから、これで百年間支配されたら色々な意味で農耕社会の伝統は崩れていくだろうと思います。一旦、...