秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 9

第9回 ペナン裁判 (二) ペナン裁判は、日本軍がペナンに進駐してから発生したとされる様々な事件の寄せ集めを、あたかも一つの事件かのように扱い、階級や任務、勤務時期の異なる35名を一斉に起訴したものである。それらの事件の中で、最も大きく扱わ...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 8

第8回 ペナン裁判 (一) マレー半島の西部、マラッカ海峡に面してペナンは位置している。英軍をマレー半島から撤退させた日本軍は各地に軍政の拠点を構え、ここペナンにも憲兵分隊が置かれた。そこでの憲兵隊の主な任務は治安維持であったが、その背景に...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 7

第7回 日高巳雄 法務少将 (五) 前回、ワイルド大佐の偽証について触れたが、このような証言や陳述書が法廷に出される度に、それらを事実と思い込み激昂した英国人看守が、当の被告人だけでなく、裁判を待つ他の容疑者たちに対しても「仕返し」を加える...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 6

第6回 日高巳雄 法務少将 (四) 前回は、日高少将が公判前に書き、現在は英国公文書館に保存されている、宣誓陳述書をご覧いただいた。事件の概要はこれで大凡把握していただけたことと思う。さて、今回は、その陳述書にも何度か登場したワイルド大佐に...
「悪の論理」の現代史

『「悪の論理」の現代史』11

日米戦争の原因 アメリカの太平洋戦略は順調に推移していたかに見えた。しかし、アメリカは思わぬ難敵に出くわすことになった。このことを倉前は『悪の論理』の中で次のように言い表わしている。 しかし、米国はここで大海軍国にのし上がってきた日本の壁に...
「悪の論理」の現代史

『「悪の論理」の現代史』10

米西戦争 ハワイ併合と並んで、アメリカの太平洋戦略における重要な一手は米西戦争(1898年4−8月)である。アメリカとスペインの間に起きた戦争であるから、遠い海の向こうの出来事のように思いがちだが、これによりアメリカは太平洋の覇権をほぼ握っ...
「悪の論理」の現代史

『「悪の論理」の現代史』9

ハワイ併合 アメリカの太平洋戦略において最も重要な一手はハワイ併合であった。それは、現在もアメリカ太平洋軍の司令部がハワイに置かれていることを見れば明白であるし、先の大戦で日本海軍がハワイ真珠湾を先ず叩いたのも、その戦略拠点としての重要性の...
「悪の論理」の現代史

『「悪の論理」の現代史』8

アメリカの太平洋戦略 前回、アルフレッド・セイヤー・マハン(Alfred Thayer Mahan、1840-1914)について少し触れた。19世紀から20世紀にかけて、アメリカはマハンの教えに基づいて太平洋における海洋戦略を展開していった...
「悪の論理」の現代史

『「悪の論理」の現代史』7

サイパンと「マハンの地政学」 倉前がまだ元気な頃、倉前は毎年学生たちを連れてサイパンを訪れていた。その目的は、先の大戦の時に島に取り残されたご遺骨の収拾と御霊の慰霊であった。倉前はなぜサイパンにこれほど深い思い入れを持っていたのだろうか。 ...
「悪の論理」の現代史

『「悪の論理」の現代史』6

地政学の定義 『悪の論理』の中で倉前は地政学の定義について、代表的な学者の言葉をいくつか紹介している。まずはそれらをご紹介したい。 アメリカの海軍兵学校の教科書では、地政学は「政治の地理学に対する関係の科学」と定義されている。アメリカ海軍兵...