いい加減な証言により処刑された海軍軍属の遺書

秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判

第41回 ポートブレア編(20)

昭和二十一年七月三十日、久保木登氏はシンガポール・チャンギーで逝かれた。享年四十歳。今回は久保木氏の遺書をご紹介した。以下『世紀の遺書』からの抜粋である。

遺言

母上宛

長い間色々お世話になりました。何一つ孝養も尽さず此度任務の為とは言へ戦犯人として先立つ事をお詫びの申し様もありません。

事件は唯敗戦といふ事が総てを決定したので私事で家内の恥になる様なことは決してして居りませんから御安心下さい。

どうか何時迄も長生せられて幸せにお暮し下さいます様お祈り致します。私の貯金が少々あります。(中略)何かの足しにして貰つて下さい。

〇〇殿

長い間色々お世話になりました。お世話になりつぱなしで今度死んで行く事を済まないと思います。どうか苦しい事もあらうが〇雄に跡を取らせて○雄を頼りに元気を出してしつかりやつて下さい。私は安心して死んで行くから嘆かぬ様母上への孝養を専一にして下さい。では何時迄も元気に幸せに暮す様祈つて居ます。

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