「Global Britain (世界の英国)」と謳って英国は空母打撃群をインド太平洋に派遣した。インド太平洋で日米豪印と連携し中国を牽制するのが目的である。しかし、なぜヨーロッパに位置する英国がわざわざインド太平洋まで来なければならないのか。これには海洋国家の思考が深く関わっている。今回は、その海洋国家型思考を英海軍のウェブサイトを見ながら考えていきたい。
英海軍のホームページの中、「WHAT WE DO(われわれは何をするのか)」に「Protecting our economy(われわれの経済を守る)」という項目がある。つまり、英海軍にとって、英経済を守ることは主要な任務に数えられているのである。日本では経済と軍事を全くの別物として教えられてきたが、そんな考えなのは日本くらいなものだ。この英海軍のページは次のように始まる。
海上貿易は英国の生き方にとって必要不可欠であり、英経済活動の95%が海洋に頼っている。われわれは毎年5240億ポンドに相当する物品を輸入しており、これにはわれわれが消費する食糧とエネルギーの約半分が含まれる。だから、海洋の自由は、本当に、英国が繁栄を享受していくのに不可欠なのである。
海洋通商国家として生きてきた英国は自由な海の重要性をよく理解している。それは彼らにとって死活問題なのだ。英海軍のページは次ように続く。
戦略的配置
海上貿易の大部分が、一握りの世界的チョークポイント(要衝)を通過する。われわれは、これらの重要な地域を守るためにわれわれの力を配置し、安全な通行を約束し、自由貿易を促進する。われわれは、必要とあらばすぐに動けるよう近くにいて、英経済の「命の血液」、つまり海上貿易が自由に流れるように保ち続ける。
世界規模のプレゼンス
英国の利益を脅かす緊張状態は、いつ何処でも発生し得る。世界規模での目に見えるプレゼンスは、不安定をもたらすような行動を抑え、英経済の繁栄に重要な地域に監視の目を置くことになる。われわれは、カリブから南極まで、国益のために行動する準備ができている。
これが海洋国家の本来あるべき姿である。英国はEUを離脱して、純粋な海洋国家としての生き方を取り戻したようだ。これが、海洋国家が自由経済を守るために海洋に漕ぎ出していく本来の姿である。間違っても大陸などに深入りしてはいけない。大陸は昔から自由主義では治められないところなのだから。
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