英空母打撃群の影の主役

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先日、インド太平洋へ向け出港した英空母打撃群の主役は、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」とそれに載っている最新鋭ステルス戦闘機F35Bであるが、実は影の主役ともいうべき艦が存在する。最新世代の攻撃型原子力潜水艦である。攻撃型原子力潜水艦とは、敵の艦船、潜水艦を沈めることを目的とした外洋型の潜水艦であり、まさに空母打撃群の見えざる主役なのである。影の主役だけあって艦名は明らかにされていないが「アスチュート」級の潜水艦だということは公表されている。

「アスチュート(Astute)」とは英語で「鋭敏な」という意味で、このクラスの潜水艦に相応しい名といえよう。このエスチュート級潜水艦は全部で7隻の予定で、1986年に計画が始まった。そして、2010年に「アスチュート」、2013年に「アンブッシュ(Ambush)」、2016年に「アートフル(Artful)」、2020年に「オーデイシャス(Audacious)」が就役している。

これらの潜水艦の建造は「BAE Systems Submarines」という、軍需産業大手の「BAE Systems」の子会社が担当している。この造船所は英国カンブリアのバロー・イン・ファーネス(Barrow-in-Furness)にあり、英海軍の艦船をいくつも送り出した名門中の名門である。潜水艦の建造も歴史が古く、1886年にオスマン・トルコ海軍に、1901年に英海軍に潜水艦を建造した実績を持つ。このような海洋国家の心臓部と言える造船業を、他の製造業が衰退してしまった現在でもしっかり保持しているのだから、やはり英国も海洋国家のなんたるかをよく弁えている。国家戦略など考えないどこぞの商人たちとは違う。

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