アフガンに関心示す中国

アフガニスタンから米軍が撤退中であることは以前述べたが、その力の真空状態に、今度は中国が入り込もうと動き出しているようだ。7月6日付の英フィナンシャル・タイムズにそんな記事が掲載されていた。たいへん興味深い動きだ。

地政学的にみてアフガニスタンはかなりの重要性を持つ。ユーラシア大陸中心のハートランドからインド洋へ抜け出る回廊と、中東や中央アジアからインドへと抜ける回廊が交差する要衝にあたる。歴史的にみてもこれまで多くの強国がこの地を支配しようとして、撤退を余儀なくされきた。米国もその例外ではなかった。

確かに現在、アフガニスタンに力の真空状態が存在しつつあるように見える。ここに中国が目を付けるのは理解できなくもない。今ならば容易く影響力を行使できると踏んでいるのであろう。アフガニスタンの隣国パキスタンは長年中国と友好関係を築いてきた。その力を借りれば、チャイナ・マネーを行使してアフガンに入り込むことはできるだろう。

しかし、やはり見通しが甘すぎる様に思われる。今後アフガニスタンを統治するのはタリバン政権であろう。今まで米軍に支援され甘えてきた現政権側にはもはや、タリバンを打ち倒す気概も能力もない様に思われる。そして、タリバンはイスラム教に基づいた統治を行う。果たしてここに拝金主義の中国が入っていけるのだろうか。しかも、中国は現在ウイグルでイスラム教徒たちを弾圧している。過去には、9・11同時多発テロとアフガン戦争への世界的な流れの中で、中国はウイグルのイスラム過激派を取り締まると称して弾圧を正当化したこともある。

こんな中国がイスラム主義者タリバンの信頼を得られようか。アフガン人はそんなに甘くはない。金をばら撒くより歴史を勉強し直した方がよほど中国の身のためであろう。

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