北極海の地政学

HMS Protector's Hydrographic department on the ice. 国際ニュース
ICE PATROL SHIP CARRIES OUT ICE RAMMING TRIALS IN THE ARCTIC Pictured: HMS Protector's Hydrographic department on the ice.

北極海というと、氷に覆われただけの海というのが一般的な認識であろう。しかし、この海は古くから地政学的には重要な海域とされてきた。ユーラシア大陸とアメリカ大陸に挟まれた地中海は冷戦時代、米ソが睨み合う最前線でもあった。ただ、氷に覆われているため通常の船が航行できず、海上の行動は制限される。しかし、空と海中となれば話は別である。こうして、日本人の知らないところで北極海をめぐる見えない戦いが続いてきたと言っても良い。このことは『悪の論理』でも触れられているのでご参照いただきたい。

しかし今、その北極海のめぐる動きが俄に活発になってきている。理由は、北極の氷が解け始めた結果、活動の範囲が広がり始めたからだ。さらに、その海底には莫大な埋蔵資源が眠っているとされる。したがって、現在、北極海には各国が調査隊を送り込んできている。もちろんロシア、米国に地の利があろう。しかし、そこに中国やヨーロッパも食い込もうと必死である。呑気なのは日本くらいだろう。

そんな中、英海軍の砕氷船プロテクターが北極点から1050キロ圏内に到達しことが、英海軍から正式に発表された。これは英海軍の艦船の中で最も北に到達した新記録なのだそうだ。もちろん、この派遣は北極海の調査が目的であるが、ここまで到達できる能力をもっていると示せた意義は大きい。これで晴れて、英国も北極開発競争のプレーヤーとしてゲームに参加する資格を得たわけだ。

英国と同じ海洋国家の日本はどうするのか。そろそろ腹を決めねばなるまい。

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