以前、太平洋で日米豪仏が共同軍事訓練「ジャンヌ・ダルク21」を行ったことについて述べた。その中で、フランスはもともとヨーロッパの大陸国家で、自分の利益となれば中国にも武器を売るような国なので、あまり信頼し過ぎない方がよいと指摘しておいた。フランスにとってインド太平洋など、遠い海の向こうの話でしかないのだから。
実は、早くもその懸念が現実に現れ始めている。昨日、フランスのマクロン大統領が次のように述べ、早速世界中に報道された。
我々のインド太平洋戦略は、誰とも連携しないことだ。私が主張するのは、フランス、そして望めるなら欧州も、中国に従属を強いられることはないし、この課題(インド太平洋地域の防衛問題)に関して米国に連携を強いられることもないということだ。
(ロイター 6月10日 参照 https://news.trust.org/item/20210610160719-hpal6/)
確かに、フランスは西側の異端児的存在であった。NATO加盟国であるが、安全保障に関しては米国と距離をおいてきた。フランスが核武装を断行する時などは、まさに自立の精神を発揮したわけだが、悪く言えば、協調性を欠いているのである。
今、インド太平洋で自由主義陣営が結束を固めようとしているときに、わざわざ、「うちはどちらにも与しない」と大統領が表明するのだから、こういう国と命運をかけて行動を共にすることは無理であろう。
やはり、インド太平洋でフランスはお客さんでしかない。
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