今話題の英空母「クイーン・エリザベス」がいよいよ母港ポーツマスから太平洋へ向けて出港した。同空母にとって、初めての作戦任務となる。
英国でもやはり、今回の派遣は英海軍が世界の舞台に戻る第一歩として大きく報道されている。かつては7つの海を支配するなどと言われた英海軍も、第二次大戦後はヨーロッパの一海軍に過ぎず、その存在感はお世辞にもグローバル・プレーヤーとは言い難かった。
今回の派遣では、インド、シンガポール、日本などに寄港する予定だが、やはりかつての大英帝国に縁の深いこれらの国々に立ち寄るというのは、それだけでも大きな意味を持つだろう。加えて、南シナ海を通過することで中国を牽制する。数年前までは想像もできなかったことである。
ブレグジットによって経済面での自立の道を選んだ英国は、軍事面でもグローバル・プレーヤーに復帰する意思を見せたことになる。しかし、その道はまだまだ途上とも言える。実はこの空母に載せられている18機のF35戦闘機のうち、英海軍所属はたった8機であり、残りの10機は米海軍の所属である。これは英米の強固な同盟関係を示すものではあるが、同時に、英海軍がまだ米海軍に依存していることも示していよう。
何はともあれ、海洋国家・英国がまたグローバル・プレーヤーとしての一歩を踏み出したことは大いに歓迎するところだ。今後、日本とどのような関係を築いていくのか見届けていきたい。海洋国家が結束しておれば世界は安定に向かうのである。
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