父と私 倉前盛通伝

父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』18

倉前麻須美 著  第18回 水餃子の思い出 あやめ池に戻ると、お腹の大きくなった母のお手伝いで駅近くの商店街まで買い物をすることが多くなりました。そんな中、出産間近になった母が入院する個人経営の産婦人科医院に、私達父子も泊まり込むことになり...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』17

倉前麻須美 著  第17回 昨日の敵は 卵のお年玉に続いて、今度は私がびっくりすることがおきました。バトル相手のおばさんが私においでおいでをするのです。「怖いからいやだ」と拒否する私に「怖いことしないからこっちに来てちょうだい。お話があるの...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』16

倉前麻須美 著  第16回 初めて見たお祖父さん 長い入院生活も少し飽きてきた頃、父母がお正月はお家で過ごそうねとお迎えに来てくれました。それがもうとても嬉しくて、相部屋のお姉さん達には勿論のこと、バトル相手のおばさんにもバイバイと手を振っ...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』15

倉前麻須美 著  第15回 恐怖の検査  入院から一週間ほど経って、病院生活にも慣れた頃、大好きな女医さんが「検査するから一緒に来てね」とお迎えに来てくれました。それまでにも、いろいろと簡単な検査は受けていましたが、この時の検査は今までのと...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』14

倉前麻須美 著  第14回 今度は私が入院 あやめ池の家で過ごした期間は、振り返ってみれば本当に短いものでした。一年いたかどうかといったところです。それでも、私にとって忘れらないことが起こりました。小学校の健康診断の結果に何か問題があり、私...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』13

倉前麻須美 著  第13回 弟とのお別れ 父の設計で建てた家は、今でもありありと記憶に残っています。日当たりのいい南側に白くペンキを塗ったテラスがあり、柵も同じく白く塗装されていました。東側に玄関がある、平屋の可愛い家でした。 父と母が庭造...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』12

倉前麻須美 著  第12回 あやめ池の新居 歩けるようになった弟はじっとしておられず、お留守番していても外へ行きたがって、階段に出る戸を開けようとします。それを止める私も大変でした。今度の引っ越しには、そういう事情もあったのでしょう。出来上...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』11

倉前麻須美 著  第11回 父、家を建てる 坊やと呼んでいた弟は、母が病弱だったこともあり、難産でなかなか生まれてこず、大変だったそうです。今の医学ならば何の問題もないことも、当時は命がけでした。坊やにはその時の後遺症が残り、脳性麻痺を背負...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』10

倉前麻須美 著  第10回 叔父さんと弟 大手術をした父が退院する日、私はとても嬉しい気持ちでお迎えに行きました。病院に着くと、入り口にたくさんの人がいてとてもにぎやかなので、何かあるのかなと不思議に思っていました。父と母は忙しそうに、けれ...
父と私 倉前盛通伝

生誕百年記念連載『父と私 倉前盛通伝』9

倉前麻須美 著  第9回 叔父さんたち 二人の叔父さんがやって来ると家の中がにぎやかになり、私は単純に嬉しがっていました。二人の叔父さんたちの心配事を理解できる歳ではありませんでしたし、大人達も何も言いませんでしたので子供の私は何も知りませ...