英国産業協会使節団、昭和天皇に謁見

The Times 23 Oct 1934 British Trade Mission in Japan 日英関係 1930年代
The Times 23 Oct 1934 British Trade Mission in Japan

英国産業界の満州市場への参入、並びに日英の関係改善の呼び水として来日した英国産業協会使節団であるが、表向き、これに英国政府は関与していないことになっていた。しかし、これが単なる民間経済団体の使節でないことは明らかで、事実、この使節団は昭和天皇に謁見している。その際、当然ながらクライブ駐日英国大使が付き添い、これを紹介している。

1934年11月23日付の英タイムズ紙もその謁見の様子を報じている。それによると、昭和天皇は使節団の満州国と日本の産業についての印象に大きな関心を示されたという。また、使節団の目的にも共感をお示しになった。そして、同紙は次のように述べている。

特筆すべきは、この種の外国の使節団がこの様な名誉に浴することは他に例がなく、天皇から格別なお心遣いを示されたことは、ここ日本においては、使節団訪問の重要性とそれが極めて好ましい印象をもたらしたことを、日本国が認めていることの象徴であるということだ。

この使節団を日本側もまさに破格の待遇で迎えたのであった。ここまでは順調な出だしと言えよう。しかし、満州の問題で陸軍の意向を無視して話を進めることはできないし、英外務省は英経済界や財務省とは違う考えを持っている。さらにそこに米国が絡んでくる。米国としては満州をめぐり日英が協調することは何としてでも阻止したいはずだ。

当時の海洋国家3カ国が、中国大陸の利権をめぐって揉め始めたことは、地政学的には大きな失敗であった。漁夫の利を得たのは大陸国家のソ連と中共であった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました