秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 13

第13回 ペナン裁判 (六) 御民我尽して果てむペナン島 これは和斯倖嗣憲兵曹長の遺詠である。彼はペナン裁判の被告中、起訴対象の全期間3年5か月を勤務した唯一の憲兵であった。しかし、それは残った者として不在者の責任まで負わされることを意味す...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 12

第12回 ペナン裁判 (五) 鎌田准尉は東川少佐と同じ時期にペナンに赴任してきた。共産ゲリラ一斉検挙の際は、警備隊と憲兵隊との間で連絡役を務めたが、その時の取り調べは警備隊が行ったので、鎌田准尉に責任はない。もちろん刑務所内での被疑者の扱い...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 11

第11回 ペナン裁判 (四) これから被告たちについて少し詳しく述べてみたい。ペナン憲兵分隊全体に網がかけられたこの裁判において、弁護人は全体としての調和を図りながら一人ひとりの被告を弁護しなくてはならなかった。弁護人は35人の被告人を4つ...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 10

第10回 ペナン裁判 (三) 前回、日本軍進駐後の占領体制においては、軍政部、警備隊、憲兵隊がそれぞれ行政、守備、治安維持の役割を担っていたことに触れたが、この組織的区分がいかに重要であったかを少し述べたい。 検察は、起訴状に記されている期...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 9

第9回 ペナン裁判 (二) ペナン裁判は、日本軍がペナンに進駐してから発生したとされる様々な事件の寄せ集めを、あたかも一つの事件かのように扱い、階級や任務、勤務時期の異なる35名を一斉に起訴したものである。それらの事件の中で、最も大きく扱わ...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 8

第8回 ペナン裁判 (一) マレー半島の西部、マラッカ海峡に面してペナンは位置している。英軍をマレー半島から撤退させた日本軍は各地に軍政の拠点を構え、ここペナンにも憲兵分隊が置かれた。そこでの憲兵隊の主な任務は治安維持であったが、その背景に...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 7

第7回 日高巳雄 法務少将 (五) 前回、ワイルド大佐の偽証について触れたが、このような証言や陳述書が法廷に出される度に、それらを事実と思い込み激昂した英国人看守が、当の被告人だけでなく、裁判を待つ他の容疑者たちに対しても「仕返し」を加える...
秘録 BC級戦犯裁判

秘録 BC級戦犯裁判 6

第6回 日高巳雄 法務少将 (四) 前回は、日高少将が公判前に書き、現在は英国公文書館に保存されている、宣誓陳述書をご覧いただいた。事件の概要はこれで大凡把握していただけたことと思う。さて、今回は、その陳述書にも何度か登場したワイルド大佐に...